こんにちは。てむたむです。
ネフローゼ症候群になって、1年経ちました。1年の間に、休職・退職・再燃と色々なことがありました。自宅療養をしてきて、治療を頑張ってきたご褒美に、旅行に行こうと思ってこの秋には、五島列島に行く予定でした。
旅行に行く直前に、尿検査をしてから、出発しようとしたら、尿タンパク3+で、旅行バックがそのまま入院セットになり、敢え無く旅行は中止となりました。
入院も、今日で22日目。今年3回目の再燃。
色々と、心も折れて、疲れて、たくさん泣きました。
治療は、次のステップへと進むことになり、今回の入院では、LDLアフェレーシスという治療法を試してみることになりました。
LDLアフェレーシスは巣状分節性糸球体硬化症という型のネフローゼ症候群に保険適応となりますが、今回は、断定しきらない状態での、導入となりました。
私のように再燃を繰り返している方、治療法を色々調べてみている方、他の人はどんな治療法をしているのか知りたい方へ向けて、私の体験をお話ししようと思い、今日はここに書いています。
私の経験で役に立つことがあれば、幸いです。
分かりにくいところや、詳しく知りたいところがあれば、答えられることであればお話しするので、お気軽にコメントしていってくださいね。
2019年10月の私の治療を元に書いています。人によって治療方針は異なりますので、私の個人的な経験談や調べたこととしてお読みください。
目次
ネフローゼ症候群を発症してから1年で3回目の再燃を繰り返しました
ネフローゼ症候群を2018年10月に発症しました。2019年10月に3回目の再燃で入院しました。
再燃時の状況は、
- 自宅療養
- プレドニン7.5mg、シクロスポリンカプセル110mg服用
でした。
特に、大きなストレスもなく、仕事もしていないため穏やかに自宅療養をしていました。
ネフローゼ症候群の再燃に対する治療経過(私の場合)
ネフローゼ症候群の再燃時、今までの治療経過です。
2018年10月に発症し、プレドニン点滴80mg→プレドニン30mgまで減薬し20日間で退院しました。
プレドニン15mgに減薬した際に再燃、プレドニン30mgまで増量するも蛋白尿は抑えられなかったです。
入院治療にて、プレドニン点滴80mg→プレドニン30mgまで減薬し20日間で退院しました。退院後、シクロスポリンカプセル125mg追加。副作用(脱毛・手の震え)が強く出たため、110mgにし、徐々にプレドニン減量しました。
プレドニン7.5mg、シクロスポリンカプセル110mgにて再燃し、再入院しました。プレドニン40mgまで増やすも、効きが緩やかなため、プレドニン点滴80mgまで増量し、12日で寛解状態。現在は、プレドニン30mg+ネオーラル110mg+LDL-アフェレーシス治療を行っています。
今回の入院では、はじめはリツキサンの適応である説明を受けましたが、LDLアフェレーシスの適応でもあることも考慮して、リツキサン治療を見送り、LDLアフェレーシス治療を行っています。
リツキサンは様々なリスクが高い治療法のため、先にLDLアフェレーシス治療を行うという説明を受けました。
ネフローゼ症候群の繰り返しの再燃に対して、リツキサンの前にLDLアフェレーシスの治療を勧められました
LDLアフェレーシスについて、以下の2つの文献を参考にしました。
リツキサンはネフローゼ症候群に対して、有効で強力な治療法の一つです。ただ、身体の中のBリンパ球を限りなくゼロに近くしてしまうため、感染症のリスクが上がります。主治医から、プレドニン60mg相当を飲んでいるものとして行動した方がいい治療法だと主治医より説明を受けました。
LDLアフェレーシスという治療法は、ネフローゼ症候群の中でも、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」という型に保険適応となる治療法です。
私の場合、微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)の、
- 頻回再発型
- ステロイド依存型
であるか、もしくは、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」であろうと3つの可能性を説明されました。
保険適応にするには、主治医が一筆書けば、FSGSの適応として治療を進められると聞きました。
また、微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)に対して、有効であった治療例も学会レベルで出ていていると説明を受けました。
そのため、今回LDLアフェレーシス治療へと踏み切りました。
(ネットではMCNSに対する論文を見つけることが私はできなかったため主治医に尋ねました。)
今回の入院で、腎生検を再度したとしても、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」であると断定できない可能性があるため腎生検は行わないことになりました。腎臓の組織を一部採取しても、「巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)」の断定を出来る組織を採れるかどうかが分からないからです。
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)であっても、微小変化型(MCNS)であったとしても、私に対する治療方針は変わらないため、腎生検を行わずにLDLアフェレーシス治療に進みました。
(LDLアフェレーシスは、3か月以内に最大12回まで実施可能な治療法です。)
1980 年代後半に巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を中心とする難治性ネフローゼ症候群患者に対し,LDL アフェレシスを行うことで寛解に至る例が報告され1),その後各種臨床研究で FSGS に対する蛋白尿改善効果を示唆する結果が報告されている2~4).LDL アフェレシスは,わが国では難治性ネフローゼ症候群を呈する FSGS で脂質異常症を認める症例に対して,3 カ月間 12 回の LDL アフェレシス施行が保険で認められている.
「エビデンスに基づくネフローゼ症候群治療ガイドライン2017」のp78より引用
LDLアフェレーシスは、ネフローゼ症候群にどのように有効なのか
参考文献ページ
- LDL-Aphresis(LDL-A)により急速に治療抵抗性が改善した
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の1例 - 大阪大学腎臓内科ホームページのLDLアフェレーシスの治療についてのページ
- 厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構「【補助療法・支持療法】CQ29 LDLアフェレシスは難治性ネフローゼ症候群の尿蛋白減少に対し推奨されるのか(ネフローゼ症候群)
ネフローゼ症候群が再燃すると、LDL-C(悪玉コレステロール)が体内で増えます。
今回の再燃で、基準値以上にLDL-Cの値が一気に増えました。
私に対する、LDLアフェレーシス治療は、
- LDLの値を正常値に戻し、LDLが高い状態である際に起こるリスクを減らす
- 寛解状態へ持って行くための手助けをする
- シクロスポリンカプセルの薬の効きの後押しをする
という目的で今回行われました。
LDLアフェレーシスを行う目的
LDLアフェレーシスは、「支持療法」「補助療法」と言われています。
LDLアフェレーシスを行うと、ネオーラルが細胞に吸収されやすくなります。ネオーラルが最大限に身体に対して力を発揮した状態を助け、寛解状態を維持したままプレドニンを減らす目的で実施しました。
小林 湘南鎌倉総合病院の小林です。Aphresisの演者の質問,なぜ効いたかの原因について,ちょっとコメントというか,このケースではまずシクロスポリンが使われていて,LDLAphresisが入って著効を示したということを1つ知っておく必要があります。というのは,LDL-Aphresisは,シクロスポリンの細胞内の取り込みを増強させる。あるいはステロイドのというように,薬物とのinteraction,それは薬物と脂質の結合についてのモジュレーションをかけている点の可能性がある。
「LDL-Aphresis(LDL-A)により急速に治療抵抗性が改善したステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の1例」p127より引用
ネオーラルの血中濃度を測定し、最適な薬の量を決定する
ネオーラルを身体の中で最大限に働かせるために、今回の入院で、ネオーラルの最大血中濃度を測定するための検査を行いました。
ネオーラルを内服する直前に採血を行い、服用してから6回採血を行いました。
1日7回の採血を行うため、苦痛が伴う検査です。
前回の入院時に行わなかったのは、苦痛を伴う検査だからということです。今回は、頸部からカテーテルを入れており、カテーテルから採血が可能なため、実施しました。
私は、ネオーラルを服用し始めてから10か月ほど経過しています。ネオーラルは徐々に血中濃度が安定してくる薬です。血中濃度は、今飲んでいる量で安定しているため検査を実施しました。
LDLアフェレーシスの治療の体験について
LDLアフェレーシスの治療体験についてお話しします。
LDLアフェレーシスは、身体の中心に近い静脈にカテーテルを入れて行います。
カテーテルは足の付け根や、首から入れることが多いです。
首から入れることが多いです(寝たきりの方は、足の付け根部分から入れることが多い)。
カテーテルを入れたところの清潔を保つ必要があるため、首から入れていれば、首から下はシャワーを浴びることができるからです。
私は、首の内頸静脈にカテーテルをいれました。
どんな感じか写真を見たい方は、こちらのはてなブログの記事ページ(3回目再燃時のブログ)に写真を載せてあるのでどうぞ。
*グロいのが苦手な方は、やめておいた方がいいかもしれません。
LDLアフェレーシスができる病院や環境
LDLアフェレーシスは、透析室で臨床工学技士さんが実施します。
私は、総合病院に入院していますが
- 機械がある病院
- LDLアフェレーシスを実施したことがある病院
- LDLアフェレーシスを実施できる技師さんがいる病院
など、できる病院が限られているそうです。
私が入院した病院では、LDLアフェレーシスの導入例があり、実施する技師さんがいたため治療を同じ病院で受けることが出来ました。
多いと言っても、「年間に数例あるかないかくらい」と、技師さんから話を聞きました。機械も、病院に1台のみとのことでした。
初めて機械を触る技師さんや、マニュアルを見ながら、確認を丁寧にしながら実施する技師さんを見て、導入例の少なさを感じました。
LDLアフェレーシスの治療の流れ
透析室で、仰向けになって実施します。
所要時間は、2時間から3時間程度です。
頸部のカテーテルの1本から、脱血(血を抜く)してゆき、血漿(透明のもの)と血球(赤いもの)に機械で分けます。
血漿から、LDLを機械で吸着し、それを身体に戻します。
1回の治療で、3リットルの血液からLDL吸着をします。
治療中は、痛みはなく、横になって過ごします。透析室には、テレビがあり、テレビカードとイヤホンを持って行けば暇をつぶすこともできますよ。
透析の方は4時間以上時間がかかるので、ほとんどの方はテレビを見て過ごしていました。私は、機械を見たり、他の方の人間観察をしたり、ウトウトしたりして過ごしました。
30分ごとに、臨床工学技士さんが体調を聞きに来たり、自動で血圧を測定されたりします。
LDLアフェレーシスの時に寒かったらすぐに伝えよう
LDLアフェレーシスを行っているときに、寒いと感じたらすぐに伝えましょう。
体内に戻す血液の温度を機械で調節しているからです。
1回目のLDLアフェレーシスの時は、自分の血の気が引いているのか、部屋が寒いから、「寒い」と感じたのかと思っていましたが、35度の設定で血液が戻されていて、寒かったようでした。
2回目のLDLアフェレーシスでは、戻す血液の温度の設定を、36度~36.5度にしてもらったら、お風呂に入っているかのように心地よいくらいで過ごすことが出来ました。
機械の設定1つで、心地よく過ごせるか、寒気に襲われながら過ごすかが決まるので、少しでも寒い・暑いなど感じたらすぐに伝えましょう。
LDLアフェレーシスの実際の効果、実感はあるのか
LDLアフェレーシスを受けて、実際どうだったのかをお話しします。
LDLアフェレーシスを行う、実施前・後でカテーテルから採血をします。
1回目:150→32
2回目:58→14
3回目:51→11
4回目:94→17
5回目:107→27
選択的に吸着されているのが、他の検査結果と比べるとさらによく分かります。受けてみた方は。ほかの数値と見比べてみてください。
臨床工学技士さんから、体調は良くなってきたか、治療の効果は感じられるか尋ねられました。私は、実感としては全くわかりませんでした(笑)
LDLが減っているんだという、気持ちの面での支えにはなりました(プラセボ効果かな)。
ただ、そうやって声をかけてくれるスタッフがいることが、心の支えになっていました。
LDLアフェレーシスについては「大阪大学腎臓内科ホームページのLDLアフェレーシスの治療についてのページ」に詳しく書かれているので、見てみてください。
LDLアフェレーシスを行った後の今後の治療方針について
LDLアフェレーシスは、「支持療法」「補助療法」と言われています。今後の治療方針はどうなるのか、主治医に尋ねました。
- LDLアフェレーシスを行い、ネオーラルの効果を最大限まで引き上げる。
- ネオーラルの最適な量を決定・処方する(そのための血液検査を行った)
- プレドニンをなるべく早く減らしていく
- プレドニンを減らした状態で寛解を維持しながら、ネオーラルを2、3年など長期間のスパンでゆっくりと確実に減らしていく
「ゆっくりと、確実に、寛解を維持した状態で」ということを念頭に、治療を進めていくこととなりました。焦っても仕方がない、考えすぎても仕方がない、と感じ、覚悟ができた入院となりました。
プレドニンの副作用が強く出やすいため、再燃しないように、焦らずに過ごしていこうと思いました。
プレドニンを1年飲んできたのもあって、副作用が今、一番強く出ていて、顔は腫れあがって、痒み痛みがひどい状態です。身体に薬が蓄積して効いているんだと感じながらも、確実に副作用も出やすくなっているのを感じます。
再燃したら、再度LDLアフェレーシスを行う方針とも説明を受けました。寛解状態まで持って行く後押しをしてくれる治療でもあります。
闘病せずに、病と共に生きるということを受け入れた3回目の入院について
今回の入院で、3回目の再発、初発から1年で3回目の入院になりました。
どうやったら再発せずに過ごせるのか、どうやったら健康に過ごせるのか、そんなことをこの1年考えてきました。
闘病ブログを書き続けようと、私の経験も誰かの役に立つかもしれないと思い、ブログに綴り続けてきました。
今回入院して、ふと、数日前に力が抜けたように「闘っていては疲れてしまう人生になる」と思いました。
私は、今、30代。これから、どのくらい生きるのかは分からないですが、病と闘う人生は送りたくありません。
だから、闘うのではなく、しなやかに、病と共に、生きるのがいいと感じました。
生きていれば、誰しも悩みを抱えていたり、少しなりとも身体の不調を抱えていたりするものです。
悩みがない人でも、「老い」は誰しも経験をし、誰もがいつかは死ぬ運命。
だから、闘わず、「私の人生を私らしく生きる」のが大切なのだと、今回の入院で、考えをシフトできるようになりました。
辛いことも、悩むこともたくさんありますが、嫁姑問題や、夫婦の問題、身体の問題、いろんな悩みと似たようなものだと思って、長い目で見て付き合っていくことが大切なのかなと、今は感じています。
今回の、入院での経験を、他にも綴っておこうと思います。
ではでは。